の続き。

人事を決める際には、

候補者が選ばれ、
吟味され、
任命に至ります。


この過程について、日本国憲法はノータッチ

国務大臣を含む政務三役から、
全権特命大使、
検事総長、
人事院院長、
果ては最高裁判事に至るまで、
日本国憲法は任命権者‣指名権者の思うがままに任せている。

さすがに最高裁判事の任命には、
慣例がありました。
法曹三者+行政府+法学界からそれぞれ一定数ずつ候補者を推薦し、
内閣はその推薦を飲む、
という慣例。
最高裁判事の出身分野の比率が概ね一定である理由です。

しかし、弁護士枠で異変が起きました。

山口厚弁護士枠で最高裁判事に任命されました。

山口厚といえば、
刑法総論 第3版
山口 厚
有斐閣
2016-03-10


の筆者紹介にもある通り、長年、東大法の教授として活躍された刑法学者(ちなみに司法試験は合格済み)。
弁護士登録(一定期間、法学の教授を務めると司法修習なしに弁護士登録可能)して僅か数ヶ月後に、安倍内閣により最高裁判事に任命。勿論、弁護士枠の推薦を担う日弁連が、全く推薦していなかった人物。

業界内での評は、

弁護士枠を使って、学者を最高裁に押し込んだ!

言い換えると、上記慣例があっさりと破られた。


#検察庁法改正案に抗議します
の根幹たる検事総長への任命(見込み)への反発
しかし、そう反発する人たちの中で

人事が決まる過程を憲法を使って厳しく統制しよう、
内閣の人事フリーハンドを縛ろう

というところまで思い至っている人たちは、未だ少ない。。。

政治に於いて人事は、要です。
そして、「権力の濫用」と「権力の抑制」との主戦場です。

件の法案を見ても明らかな通り、
法律の力で、人事を巡る内閣のフリーハンドを縛ることは、困難

だからこそ、人事に関する意思決定過程を統制する仕組みを、出来る限り具体的に憲法で明記すべき。